以前、太郎小屋等の管理に携わった友人のお誘いで、同じく5月のGW、ヘリで同ルートを滑った事がある。特に薬師沢右俣上部の豪快な滑りが忘れられなかった。
今回は、北海道でいつもお世話になるサッポロマウンテンの石坂ガイドのお誘いである。RUWVの木村恒夫さん、湯浅修太郎さん、北山の会の上嶌秀夫さん、ゆきうさぎの松下夫妻と山内さんの計7人が同行、賑やかである。
5月1日(日)昼過ぎ自宅よりピックアップされ一路立山山麓のロッジ太郎に集合する。
5月2日(月)朝8時頃ロッジの車で、何やら人里離れた森林地帯へ。前回もそうであったが、要は資材運搬用の大型ヘリに乗るのだが、我々は資材扱いか、小屋のスタッフ扱いか。
我々は一番機、8~9人単位で3~4回往復する様だ。因みに料金3万円。
今回は窓側だったので、ぐんぐん上昇し、またたく間に雪山が足元に去って行く。これがもう少しゆっくりなら、自力で登っている感がしなくもない。本田勝一さんがそんな事を書いていた。
正味5~7分位か。標高2,320Mの太郎小屋横に到着。ヘリは即取って返す。
太郎平到着のヘリ
薬師、北ノ俣、黒部側の山々も見えるのだが、何だかセピア色で迫力が無い。黄砂なのだ。
ゆっくり休んだ後、北のノ岳(2,661M)を往復する。
下りは、昨日の雨が氷り、雪は最中状、思った程快適では無かった。
5月3日(火)朝から晴れている。薬師岳行きだ。何やらそわそわ準備する。8時頃出発、一路北西方向へ。今日は黄砂の影響もなく、正面に薬師山塊、右に水晶、雲ノ平、鷲羽、三俣蓮華、後に、北ノ俣、黒部五郎が手に取る様だ。
薬師峠に下り、シールを付けて薬師平経由、薬師山荘に向う。途中後方に槍、穂高がくっきり。山荘にて若干弱い人達が補助ガイドと残り、最強4人?が石坂ガイドと本峰へ。
槍ヶ岳・その右に穂高も
薬師岳は廻りがカールに囲まれ、大きくてたおやかな峰である。頂上手前の避難小屋辺りから頂上稜線は、やはり3、000Mの厳しさが窺がえた。
薬師岳頂上の祠。左は立山方面
2,926M薬師頂上。所々雪が飛ばされていて神社の祠も殆ど出ている。しかし何と云ってもその先に立山、弥陀ヶ原、そして剣が堂々と望める。立山が何だか尖って見える。
シールを外して薬師の西斜面の上部の雪を拾い乍ら南にトラバース。避難小屋跡のピークを西から南に廻り込んで薬師沢右俣源頭に立つ。やっぱりガイドはここを狙っていたのだ。
前回快適に滑った記憶があり、その時よりも技術は上達している筈と自分に云い聞かす。始めはそこそこ急斜面、それに無木立、谷底迄標高差7~800M、日本ではそうそうお目に掛かれない一枚バーンである。
薬師沢右俣の一枚バーン 薬師平より
ガイドが滑り出す。1人2人追いて出る。私も思い切って1回転、まずまずである。しかし数回回転すると大股がつらい。要は姿勢が引け気味の上に、回転の後部で沈み過ぎるのであろう。技術の向上より加齢による体力減が響いている様だ。数回から10回転毎に一息入れ乍ら、見る見る高度を下げる。段々雪も緩み出し、やたら暑くなる。谷も左に曲り出し斜度も落ちる。概ね標高2、200M辺りか。右斜面よりいくつかの雪崩跡あり。その辺りで大休止となる。何たって圧巻の滑り、皆満足そうである。
その後右の急斜面を、雪崩にヒヤヒヤしながら登り、2,448Mピークの北按部に出、薬師平の西斜面をトラバース気味に滑り、薬師峠に何なく降り立つ。さすがはガイド。見事なコース取りである。
その頃より天候悪化。吹雪気味となって来たので一直線に太郎小屋に戻る。
5月4日(水)好天である。ガイドは北ノ俣より東北に出ている尾根を滑ろうと云う。文句なし。見渡す限り山スキーの楽園なのだ。
北ノ俣頂上手前2、576Mの辺りより北東に滑り出す。実に滑らかな上に、時折樹林があり、全くカナディアンロッキーの雰囲気だ。自在に滑り乍ら段々高度を下げて行く。遂に薬師沢左俣出合い迄滑ってしまった。もう黒部本流も近い。
薬師沢左俣出合い 付近のメンバー
楽あれば苦あり。それから薬師峠迄ひたすら谷を登り返した。もう充分だ。そのまま小屋に戻った。
その夜、夕食事時、ビールが振る舞われ、太郎小屋の主人他スタッフの挨拶があり、一寸したパーティとなった。何時の間にか、小屋の宿泊者も3~40人程度になっており、打保、飛越トンネルより、寺地山~北ノ俣経由で登って来た人たちも加わっていた。立派なものである。私も一度寺地山より北ノ俣を眺めた丈で、尻尾を巻いて帰った事がある。おまけに帰りのルートを誤った。
5月5日(木)この日も好天。今日は下山の日、小屋の主人も一緒に下ると云う。
最初の太郎兵衛平のゆるやかな斜面は西斜面なので、朝は陽が当たらずカリカリ。全く惜しい話だ。途中から緩み出し快適に滑る。折立の手前で一寸した谷に入る。我々にとって、いつもの藪山スキーの感。
有峰湖が見える!!
11時頃折立に着く。何と2台の車が待っている。この辺りの手配が憎い所だ。有峰湖を少々廻って有峰林道を下る。昨秋たまたま訪ねた有峰湖周辺の紅葉を思い出す。
ロッジ太郎に戻り、風呂に入って一路大阪へ。今庄で事故渋滞には弱った。