2014年7月25日金曜日

2014年7月 常念岳(2,857m)~蝶ヶ岳(2,677m)縦走・写真報告 鎌田克則

                  
安曇野の東には、鋭鋒にして秀麗な常念岳が目につく。そしてその向こうには、梓川の流れる上高地渓谷が有り、その先は槍・穂高連峰が並ぶ。
夏のアルプスを訪ねるのも諦めかけていたが、最後の挑戦として、信州側から常念~蝶を縦走して、槍・穂高を真近かに眺めたいと念じた。
幸い友人二人の同行を得、何とか望みを叶えられることとなった。


720日、連休実行予定を天候不良で2日間遅らせ、車で関西出発、福井の荒島岳山麓の別宅滞在中のもう一人の友人をピックアップ、高山、安房トンネル経由、安曇野に達し、ビッグにして本格的な民芸調の民宿「ごぼうでん」に泊まった。この宿は、友人の勧めであったが、確かに素晴らしい。よって下山後も再度泊めて貰う事となった。(写真の建物、安曇野周辺なら絶対お勧め)







721日、登りは一ノ沢ルートを採用(下山口が三俣になるので車の回送が必要となる)本日の標高差は1,150m、標準時間は5時間30分。大渓谷をじくじく登る。詰めの頃になると雪渓が出だす。













1時半ごろ、稜線に達す。やや曇り気味ながら、槍がどんと見える。目の前が常念小屋。昼食時間を含めて6時間。これならまあまあ行けると思った。この自信が後で少々悔やむことになる。
後は展望を楽しみながら、小屋でごろごろ。ビールと行きたいところだが、元々弱い上に高度を考えて自重した。全くの手持ち無沙汰。








22日早朝食事を済ませ、6時頃出発。常念岳に向かう。天候はだんだん良くなる。昔は走って登ったとは言わないが,苦もなかった登りがこたえる。
何と言っても晴れ出すと槍ヶ岳がどーんと大迫力。形も立派。











⑤何とか常念頂上。やれやれ。
















⑥常念を越えると今度は穂高が眼前に。前穂、奥穂、涸沢、そして手前の岩壁は屏風岩。何時ぞやこのルートは、老クライマーが曾て登った穂高の岩稜を懐かしむ所と聞いた。思えばそうかもしれない。













⑦縦走路からは槍の北鎌尾根から穂高の明神まで一望である。広角で撮るとこんな具合。














⑧縦走路の凹凸は大したことは無いと言う思いだったが、この歳になれば結構こたえる。要は歳を取れば山を舐めてはいけない。(写真は常念方向)













⑨何とか蝶ヶ岳頂上。予定より1時間遅れの1時半。蝶ヶ岳小屋を目の前にして、どうするか。昨日は後半手持無沙汰だったし、小屋に泊まるより無理しても下山し、温泉にでも入りたいと言う思いが募り、下山しようとなる。標高差1330m、標準時間は3時間半、4時間半見れば可能と下山口の三俣に5時半にタクシーを予約した。これが甘かった。覚悟はしていたもののなかなか急な下り、下っても下っても高度計の高度が落ちない。焦るが何ともならず、途中何とか携帯が通じたので、タクシー予約時間を6時過ぎに訂正。その頃より道も良くなる。



2千mを過ぎる頃より樹林帯に入る。なかなか見事な森林地帯である。下山口手前の水場で何とか息を突いたものの、その後は僅かの距離と思うものの上半身は宙に浮き、下半身は棒の様。幾つも流れを渡りやっと車道に出る。やれ車が見えるが、それは小屋関係者の車。「あと800m」の看板にガックリ。もうヤケクソで歩く。幸い下り道、何とかタクシー駐車場に到着。6時半近かった。
親切な運転手に導かれて、先ずは一の谷の駐車場に車回収に行く。途中運転手を通して温泉宿を探すが、7時頃ともなれば無理。やはり「ごぼうでん」だ。温泉でなくとも立派で大きな風呂がある。
何とか一部屋予約。夕食は間に合わないのでスーパーで食べたいもの、飲みたいものを手に入れ直行。8畳の部屋と聞いたが、実際は20畳ぐらいの部屋。風呂に入って、飲みたいものを飲み、食べたいものを食べ、その上思い思いに大の字になって寝た。最近これほどの幸せを感じたことは無い。
23日 ゆっくり起きて、ゆっくり食事。そして往路と同じルートを経由。友人一人の福井の別宅で昼食。畑の取れ取れの野菜を頂いて、友人一人はそこまで。もう一人の友人と北陸道経由で悠々帰宅した。充実感こそあれ、他に言う事なし。今夏のアルプス計画はこれを持って終了した。


                                               おわり

2014年7月4日金曜日

7月1日(火)午後~2日(水) 能郷白山登山報告 鴨6  鎌田克則

①近ごろ山らしい山に登っていないので、能郷白山に狙いを定め,本巣市に能郷谷の何処まで車が入れるか問い合わせたところ、登山口手前4km程度と解る。一方温見峠が完全に通過可能との情報を得た。温見峠と聞けばやはり気はそちらに傾く。矢も楯もたまらず、峠までなら付き合うと言う閑友人を口説いて、71日(火)午後飛び出し、友人をピックアップ、福井と大野の中間の「みらくる亭」に泊る。なかなかの温泉。ウィークデイは安い。






②大野から温見峠(1,020m)までの道は、やはり奥深さを感じさせる。高校山岳部時代、温見峠の地図を見て、チベットの奥地の峠を見る思いをした所だ。今は途中に全く人家はない。
さて峠が登山口。以前はこんなルート無かった。稜線に沿って1,500mまでひたすら登る。汗だくになるが涼風が心地よい。その後はなだらかで頂上に近づく。残念ながら霞んで遠くの山は判別し難し。先ず一等三角点。そしてその先に祠が見える。南正面は白谷、左の大きな山は前山、その向こうが能郷谷。






 

 ③祠前の私。一人登山者 (それまでに数人の登山者に出 合った)が居て、朝5時に峠より登り、イソクラ迄往復して きたという。踏み跡ほとんどなく藪漕ぎの連続だった由。 豪傑が居るものだ。この写真を撮って貰った。








④能郷白山神社の能舞台。以前雨に降りこめられて、この能舞台にテントを張って暮らしたことが有る。夏なら涼しく快適と思う。
又紅葉時期、峠を越えればさぞ美しい事と思う。どちらも入口に温泉が有る。
 冬は能郷まで除雪されている。奥の黒津、大河原は冬は途絶。4~5月頃まで通行不可との由。チベットまで行かなくとも、残雪期、温見峠を越えられないものだろうか。植村直己バリでそりを引いて行くのだ。さぞかし遠征気分が味わえると思う。峠付近は日本離れした景色だし、それに分水嶺だ。引っ張る犬は居ないが耕運機かスノウモービルか。せめて能郷谷を詰めて残雪期の能郷白山に登りたいものだ。