2014年2月25日火曜日

シャモニー・モンブランの山岳スキーを楽しむ

傘寿のスキー旅行

 昨年、サンモリッツで教わったスキー術が身に着いたのか、シャモニーで確かめることにした。今回はClub Medがツイン3室しか取れず、6名(敬称略)、鎌田克則、打越啓祐、森村征男、松下昌弘、倉橋和義、中村淳が参加した。昨年ご一緒した皆さんだ。

111日(土) 
 関西空港から2320トルコ航空TK47便で出発、日本海へ出たところで強い偏西風の向い風に遭遇し、対地速度が670km/hと遅々として進まない。
 深夜の機内食サービスで赤ワインを飲みながら時間を稼ぐ。

112日(日)
イスタンブール空港
 翌朝521イスタンブール空港に着陸、ここまで13時間余りを要した。乗り継ぎ客の大行列に並び、搭乗検査を受けてTK1917便に乗り継いだ。
  843に離陸し、アドリア海からイタリア北部横断、やがて眼下にアルプスの山々が広がる。何処かにモンブランやマターホルンがあるのだが、よく分からない。徐々に高度を下げて地表を覆った霧を潜って1035、ジュネーブ空港に着陸する。関西空港からここまで19時間44分の旅だった。

眼下にアルプスの山々
 
 入国手続をませ荷物を受け取った所で、出迎えの神田夫人に会う。車に荷物を積み込み、動き始めた途端、左サイドミラーが柱に当たり破損、皆が協力して応急修理して出発した。空港を出て直ぐにフランス国境を通過し、徐々に高度を上げていく。
説明を追加

 谷間に立ち込めた霧が晴れて、山々が姿を見せた。行く手の正面遙か彼方にモンブランの頂上が見える。展望場所に車を停め、雄大な景色に感動する。
 更に進むと右手にエギュウド・ミディの峻峰が見える。もう直ぐシャモニーだ。

モンブランの麓の谷間、標高1035mにシャモニーの街がある。街の中央の北側にClub Medのホテルがある。
スタッフの濱田遼子さん
1400 Check in、フロントに日本人スタッフの濱田遼子さんがいて、滞在中いろいろとお世話になった。
他に日本人客は横浜の小竹道夫ご夫婦のみだ。

別棟3286号室に倉橋・中村、隣の288号室に鎌田・松下、廊下の突き当りの293号室に打越・森村が泊まる。このホテルに今夜500名が宿泊するという。
 色々な手続きを済ませ、最後は21時にホールに集まり、スキーのクラス分けが行われた。初心者から上級者まで4段階ある。説明を聞いた後、3-Bに鎌田、打越、森村、松下、中村の5名がエントリー、倉橋が2-Bにエントリーして準備が完了した。

113日(月)
左から倉橋、松下、打越、中村、鎌田、森村
 今日から5日間のクラス別スキーが始まる。3-Bのインストラクターは日本語が少し話せる背の高い青年、日本の戸隠に2年滞在したとのこと。
「ジャン」と呼ぶことにする。

 ホテル玄関前の広場に集まったスキーヤーが一斉に移動開始、隣のティバーリフトでゴンドラリフトに乗り継ぎ、標高2000mにあるPLANPRAZへ登る。

ここでスキーを履く。
今シーズンの初滑りだ。緩いコースを大勢のスキーヤーと一緒に滑りながら、一年前のサンモリッツの感覚を取り戻した。次のリフトに乗ってゲレンデ上部へ登り、全員が大斜面の上部に集まった。
 ここから斜面下のインストラクターの処まで一人ずつ自由に滑り、それぞれのグループに分けられた。

左の2名がロシアカップル
3-Bグループは、われわれ5名とロシア人カップルの7名だ。ジャンに続いてロシア2名が滑り、中村、鎌田、松下、打越、アンカーは昨年と同じ森村さんが務める。
次のリフト乗り場までロシアカップルの後を滑ったが、お二人ともスキーが上手だ。

もう一度リフトで登り、PLAPRAZへ降ってスキーを脱ぐ。次はゴンドラに乗り標高2525mのLe BREVENTの絶壁頂上駅へ登る。

右手の岩壁からジャンプ
ゴンドラを降りた乗客がデッキに集まり、隣の岩場を見上げている。
バンジージャンプかと思ったが、隣の岩場から腕に幕を付けた若者がジャンプ、両腕を広げて滑空し深い              谷間に消えていったという。
人間モモンガ―を観たのか?

反対側のデッキにいたため見えなかったが、如何に着地するのか、よく分からない。よくもこんな無謀なスポーツがあるものだ。

 ここでスキーを履いて、上級コースの滑走が始まる。

2525mから滑降開始
 コースはピークの北側を回り込み、尾根に出たところから南側の大斜面へ滑り込む。
 ここからトラバースで高度を下げ、再び大斜面に出てからはスラロームを楽しみながら、最初のリフト頂上へ戻った。
 リフト沿いに滑降して、そのまま真っ直ぐ東へ移動を開始する。次のリフトで登り、降ったところでスキーを脱いでゴンドラに乗り換える。大きな谷を渡って隣のFREGERE地区へ移動する。
 この辺りから雪が降り始める。
 この後、リフトを2本乗り継いでLa Fregere(標高1894)Club Medに着く。
 
ホット赤ワインで乾杯
入り口前のテラスで温かい赤ワインを貰い、まず冷えた体を温める。
 室内に入り指定席に座って昼食となる。赤ワインを飲みながらスープ、チーズポテト、鳥シチュー、デザートのメニューを腹一杯いただく。

 帰路は往路を引き返すのだが、初日で緊張したこともあり、普段使わない大腿部の外側の筋肉が悲鳴を上げ始める。 ゴンドラで大きな谷を越えた処から往路を外れてリフトに乗り、標高2514mまで登る。降雪のため視界は良くないが雪質は軽く、太腿の痛みに耐えながら快適なスラロームを楽しんだ。
 往路に戻り、今朝の出発地点Planprazからゴンドラに乗って麓のClub Medに帰着、無事に初日のスキーを終えた。

初日のスキーに乾杯
 部屋に戻り、シャワーを浴びた後、悲鳴を上げた筋肉にバンテリンをたっぷり塗り込む。室内着に着替えて地下1階のBarへ行き、集まった仲間と杯を重ね、夕食時間まで談笑を楽しんだ。
 夕食時間の19:301階食堂の扉が開き、ビュッフェスタイルの夕食が始まる。8席のテーブルに横浜の小竹ご夫妻が加わり、日本人8名の会食となった。
 何処に美味しいメニューがあるのか、一口食べて「これがうまい」などの情報を交換する。ワインを飲み、たらふく食べて最後はデザートとコーヒーでおご馳走さま。

114日(火)

コースを説明するジャン
 今朝は雪が降りガスがかかって見通しが悪いので、中村は以降のスキーを楽しむために今日一日を休んで足の筋肉疲労の回復を図ることにした。
 この日は森村と倉橋が休み、3Bグループのジャンと5名がバスに乗り出発した。
(以下は打越さんの話を記す)
 行先はBALME(2270m)スキー場。バスで30分の処にあるLE TOUR(1462m)へ行き、そこでゴンドラに乗り換えてCharamillon(1850m)へ登る。更にリフトでLes Autannes(2195m)まで登り、ここから初級コースを降ろうとしたが、ホワイトアウトのブリザードに見舞われて平衡感覚が働かず、転倒続出とのことだった。

 
森林コースを快適に滑る
 ジャンはインストラクターのノルマがあるのか、悪天候でも休まず前へ前へと進む。ロシアカップルも後に続く。ゲレンデ北のリフトに乗りAiguillettes des Posettes(2201m)から麓のVallorcine(1264m)までのダウンヒル。途中の森林帯を滑るコースが好かった。

 ゴンドラで引き返し、Charamillonで昼食をとる。「もうこれで十分だ。これから麓へ下ろう」の掛け声に、ロシア2名もジャンも同調して下山した。

15:40ホテル帰着、お疲れ様でした。




山頂の残月

115日(水)
 天気予報は晴時々曇り、気温‐1度。山頂がモルゲンロートに輝く。昨日の休養で足の筋肉が回復した。

今日は景観を求めてGRANDS-MONTETSスキー場へ行く。バスでArgentiere(1252m)へ行き、ゴンドラでLognan(1972m)に登る。右手のゴンドラに乗りBochard(2765m)まで登り、ここから中級コースの滑降を開始する。

笑顔のジャン “Bonjour”
ジャンは日本語で「ゆっくり」をよく使うが、スラロームは決してゆっくりではない。ラストの滑りを気にせずどんどん飛ばす。止まってもラストが着くと直ぐにスタートして、ラストが休めない。
「ゆっくり」に含まれるSlow and Restの意味が分かっていない。
 スラロームを楽しみながらLognanへ降り、今度は左手のゴンドラに乗ってGRANDS-MONTETS(3276m)の展望台へ登る。
駅内にスキーを置いて外に出て、深い呼吸をしながら外部階段をゆっくり上る。
最上段デッキでの眺望に感動!

標高3276mからの眺望


Mont Blanc は左の雲の中





記念写真を撮る











 天気がよく一大パノラマではあるが、MONT BLANCだけが雲の中だ。

 展望台からの下りは、ステップが凍結しているのでスリップしないように手すりにつかまり慎重に降りる。

 頂上駅からスキーを持ってゴンドラでLognanへ下り、今朝一番に登った右手のリフトでBochardへ上がる。下りは右手の上級コースを滑り、途中からラッセルされていないギャップ地帯に入る。
 横滑りの斜滑降から小さなパラレルターンをしながらギャップを乗り越えて高度を下げていくが、思うようにスキーをコントロールできず、転倒を繰り返した。
 上下の屈伸が多くなり、大腿筋が疲労、エネルギーを消耗する。最後は右へ斜滑降して中級コースに出て12:30 Lognanに降る。
Aiguille Verteを描く森村さん

続いてリフトで中間駅へ登るというので、打越、森村、中村の3名がレストハウスで休憩する。
その間、ジャンと鎌田、松下、ロシアペアの4名は中間駅から新雪面を2回滑り、合流して帰路に着く。

 Lognanからは快適なダウンヒルコースで、コース幅一杯に左右の連続回転を楽しんだ。
 急斜面を降りたところから、麓のArgentiereのゴンドラ駅までの一直線の直滑降となり、前屈みのクラウチィングスタイルでスピードを満喫することができた。
 この標高差720mの滑降は、今回のシャモニーで最も印象に残るコースだった。
 13:45のバスに乗り14:20 Club Medに帰着する。そのまま食堂で昼食となる。この後、シャワーを浴びて汗を流し、別室での夕食時間までBarに集まり、生かきを肴に大いに飲み、大いに語り合う。

日本人全員集合
 19:30 別室に滞在中の日本人8名とClub Medの遼子さんが集まり、鉄板焼きコース料理を頂く。ワインで乾杯し、料理を頂き、談笑のひと時を過ごした。

日本と同じような焼肉料理を期待したが、遅い昼食とBarでの飲食が重なり、満腹状態で食欲ダウンとなり、申し訳なかった。











116日(木)
 今朝もバスに乗り、昨日と同じGRANDS-MONTETSスキー場へ行く。今回はAregentiereから右のリフトで登り、今日の昼食するレストランの場所を確認する。
 LognanからBochardへ登り、上級コースChamoisを降ってLognanに戻った。

スケッチ風景
 この後、ゴンドラとリフトを使って新雪を滑るというので、鎌田、打越、森村、中村の4名がレストランで休憩する。
コーヒーを飲みながらAiguille Verte(4121m)を眺める。

 森村さんが、この山が窓枠に収まる位置に席を移動してスケッチをする。見る間に迫力ある山塊が書き上がった。見事な出来栄えだ。
森村征男画伯の作品





 この間、ジャンは3名を連れて新雪の斜面を存分に滑り、
レストランに戻ってきた。











 これから昼食をとるために、麓まで降りて、リフトで上がることになる。今一度Lognanからのダウンヒルコースが滑れるのだ。
 これが最後とダウンヒルを楽しんだ。Argentiereからリフトで登り、レストランに入る。大勢のスキーヤーが行列してビュッフェの順番を待っている。ジャンが先頭で料理を取るのを真似て自分の品を選ぶ。最後にコーヒーを飲んで、外に出る。
これより帰路につく
ジャンが「これからミステリーコースだ」という。何が始まるのか。

 滑降して止まったところが、何と先ほど登ってきたリフトの頂上だ。これからどのコースを降るのかと思ったら、このリフトで降るという。
 ジャンは「このリフトで降ることでパラグライダーの体験をしてほしい。これがミステリーコースだ」と笑いながら説明した。
BARで食前酒を嗜む

 15:45のバスに乗り、16:15Club Medに帰着した。いつものようにシャワーを浴び、着替えてBARに集まり、ビール、ワイン、カクテルなど嗜み夕食の時間を待つ。

 森村さんが注文するホットウイスキーにバーテンダーが驚いていたが、毎回同じものを注文するので、顔を憶えてにこにこと作ってくれるようになった。

 倉橋さんはビール党だ。美味しそうに何倍もぐいぐいと飲んでいる。

 皆さん個性的な酒飲みで、いい仲間だ。間もなく夕食が始まる。


117日(金)
クラス別スキーの最終日 全員集合
 今日がクラス別スキーの最終日だ。行先は初日のBREVENT-FLEGEREスキー場だ。
ゴンドラでPlanprazへ登り、東へ移動する。
 谷を渡る手前でリフトに乗り2514m地点へ登り、最後の景観を楽しむ。更に東へ進み谷を渡ってFLEGEREスキー場のClub Medに着く。2Bクラスの倉橋さん達も一緒になる。

昼食のメニューはスープ、ポテト、鹿肉、デザート、コーヒーだ。ジャンはよく食べるし、水のようにワインを飲む。飲酒運転のスキーではないのか。
大きなデザート






 復路は、クラスごとに来た道を戻る。2B3Bが一緒に滑ったり、前後したりする内にPlanprazに着く。スキーを脱いでゴンドラに乗り、谷間のCHAMONIXへ降る。

 スキーを担いで少し登り、初級ゲレンデでスキーを履いて、ゆっくり大きなスラロームで滑るジャンの後に付いて最後のスキーを楽しんだ。15:20 Club Medに帰着した。

お別れ会 ジャンは中央 右はジャンの友人
 この後、各クラスそれぞれお別れ会があり、3Bクラスの5名が17:30Barに集まり、ジャンを迎えた。ビールで乾杯し、5日間のご指導に感謝し、謝礼した。

最後に京都での再会を約束してお別れした。

 ジャンはイケメンのいい男だ。インストラクターで稼いで、京都へ来て、春の桜か秋の紅葉を楽しんでほしい。

夕食後は、ホールで開催されるショー「ムーランルージュ」を見て、最後のシャンパンセレモニーのシャンパンを乾杯して部屋に帰った。


118日(土)
Aiguille de Midi
 天気がいいので全員でAiguille de Midiに登る。ゴンドラ乗場まで行くが、鎌田、中村がリフト券を取りに帰り、標高3842mのティルームで落ち合う。多くのスキーヤーがアイゼンを付けて急傾斜路を下っていく。どのルートでこの山を降るのか、よくわからない。
 酸素不足でふらつくので、早々に下山する。12:00Club Medへ帰り、食堂でビールとワインを飲み、食事を済ませて、部屋で一休みする。
標高3842mの展望台 背後の山はMont Blanc

 






 午後は14:00に集合して、登山鉄道に乗ってMer de Glace(1913m)へ行こうとしたが、運行休止で断念してChamonixの街を散策しClub Medへ戻る。

 その足でロッカーからスキー・ストックを出して、返却室に入ると、入り口の若者が受け取り、奥のカウンターの女性が「Jun?」と声を掛ける。「Oui」と答えると返却完了となった。センサーによる確認処理であろう。
 何時ものようにBarでカンパリ―、ジンなどを飲み、最後の晩餐は赤ワインで乾杯、今夜のご馳走を頂く。食後、遼子さんに我々のCheck outのお手伝いしてもらう。
 部屋に帰り、荷物を整理して帰国準備をする。

119日(日)
6:30に起床して、朝食前にパッキングを終える。9:00神田さんが運転するワゴン車で出発。レマン湖畔のチャップリン像、オードリー・ヘップバーンの墓など観光スポットを伝えたところ、レマン湖の東からジュネーブへ行くルートになった。
 まず近くにあるウインパーの墓、山で亡くなったガイドたちの墓を巡り、一路東へ進む。
この谷間にローマへの道の遺構がある

 今回二度スキーを楽しんだArgentiereを通過し、10:00 国境を越えてスイスに入る。車は高度を上げて広い峠に着いた。

眼下に広がる町はSt Bernard、あのセントバーナード犬の発祥の地だ。広い谷間は右へUターンしている。

かつてナポレオンが大軍を率いてこの谷を通り、イタリアに攻め入って勝利したという。

 St Bernardへ降ると、ローマ帝国時代の「ローマへの道」が保存されていた。
チャップリンと腕を組む鎌田さん
この歴史街道を1時間走るとレマン湖の東に出る。湖畔を西へと進み、11:30チャップリン像、ローザンヌを通過し、12:30オードリー・ヘップバーンの墓を参る。彼女が生まれたTorochuna村の小高い丘の上にあった。綺麗な花に飾られて静かに眠っている。
ヘップバーンが静かに眠る

 この後、ドライブインで昼食を済ませ、ジュネーブに入る。国連施設や市街地を巡って、15:40ジュネーブ空港に到着する。

 神田さんにはドライブ・ガイドとトルコ航空のCheck inまでお世話にな              った。

 出発ゲイトが決まるまでの間に土産物を買い、TK1920便でイスタンブールへ行き、乗り換えて0:50発のTK46便で関西空港に向かう。
 後部座席に空席があり、ゆっくり座ることができた。復路は中国上空で偏西風に乗り、対地速度が1043km/hとなる。往路の1.6倍だ。

120日(月)

18:15関西空港に着陸し、無事に10日間のスキー旅行を終えた。

写真:鎌田克則、中村 淳
以上

この楽しい思い出づくりにご一緒していただいた皆様に感謝申し上げます。
また同室の倉橋さんにはいろいろとお心遣いいただき厚く御礼申し上げます。

この旅行記の執筆は3Bグループの行動が中心となり、倉橋さんの2bグループの記事を載せることができなかったことをお詫びします。そこでお願いですが、この記事の後に倉橋さんの紀行文を添えていただけないでしょうか。
中村 淳