2015年6月17日水曜日

北山の巨大スギ林



鍋谷山(859m,小浜)、井ノ口山(779m,小浜)

西邨顕達

今回の山行は頂上に登るだけでなく、近くにある有名な巨大台杉林を見ることであった。計画を具体化する段階で、片波川源流には樹齢1000年を越す北山最大の台杉とそれに近いサイズの台杉の生息地が2つあることが分かった。1つは片波川林道上部東側にあり、京都府の管理下にあるもの、もう1つは井ノ口山の東側の個人の所有地の中にある。これらをぜひ見たいと思った。
この報告を書いている時に初めて気づいたのだが、多くの山行記録や昭文社発行の地図「京都北山」と違って、洛北高校山岳部の「北山50山」のリストに鍋谷山はあるが、井ノ口山の名はない。また、鍋谷山の高さは779mとなっているが、これはすぐ東にある井ノ口山の高さである。なぜこういうことが生じたのかという論議はおいて、ここでは山の名前と高さは一般的な見解に従っておく。
この山行のプランニングの過程で現在ほとんど完成している「丹波広域基幹林道」の存在を知った。これは船井郡京丹波町下山から京都市左京区花脊大布施町まで、 京都府の中央部を東西に横断する全延長65km林道である。林道といってもトラック2台が余裕をもってすれ違え、完成時にはすべてアスファルト舗装になるという豪華なものである。この林道にもっと小さい林道があちこちで連結している。これらの林道を利用すればずいぶん効率よく頂上に行けると思われた。

月日・天気
201567日(日) 終日晴れ   
最初の予定ではこの翌日に行くはずであったが、天気予報を見て当日朝に変更。変更してよかった。

同行者
四手井靖彦、倉橋和義

行動記録
二軒茶屋自宅(10:15)→花背峠→大布施→片波→最初の林道崩落地[車デポ](11:10-15)→駐車場(1130)→台杉群観察地・上の入り口(1155)→広域林道分岐(12:40)→鍋谷の尾根への緩い谷[昼食](c1300-25)→鍋谷山の尾根への取り付き(1339)→鍋谷山頂上(1357)→井ノ口山頂上(14:35)→広域林道(16:26)→倉谷林道分岐(16:38)→片波林道分岐(1722)→駐車場(18:07)→[車デポ](18:20)→二軒茶屋自宅(19:10

ノート
   四手井が修学院で倉橋をピックアップし、二軒茶屋で私を拾ってくれる。二軒茶屋を出たのは10時をまわっており、最初の予定より2時間以上遅くなった。当日になって急に行くことにしたのだから仕方がない。花背峠→大布施→片波町と車で順調に来る。その先1㎞弱で道は2つに分かれ、左(西谷)に入る。

 実線+矢印:車による移動  破線:徒歩  太い緑色の実線:広域林道

東谷との分岐点から1㎞ほどで林道は2つに分かれる。私たちは右(北)側の方に入る。1㎞も行かずに道路の上側斜面が崩壊しているところに着く(1110)。道路の上には大量の土砂が堆積し、大きなナラの木も転がっていて、もう車では進めない。後は徒歩で行くことにする。
 
15分で大きな駐車場に着く。道路さえよければ一般車もここまで車で入れる。ここの東側から台杉群の生息地が始まる。林道を歩いていくと15分ほどで台杉群の生息地の案内板に着く。ここは台杉群・生息地への入り口だ。中に入りたいが時間がないのでまたの機会にする。車をデポしたところからここまで斜面崩壊による砂が路上に堆積して車の通行が不可能なところは45地点あった。






 一般公開台杉林入り口を過ぎると道はよくなった。20分ほど歩いたところで、軽トラ2台に遭う。以下はそれに乗っていた二人の男性から聞いた話である。京都府に頼まれて台杉林の監視・管理に来た。京北から来たが、片波林道の下の方は通れないので、大布施から広域林道に入ってここに来た。片波林道が荒れたのは一昨年の台風18号の時で、この林道は京都市の管理するものであり、京都市は金が無いのでなかなか修理しない。

 
広域基幹林道の一部。幅が広い。完成すればアスファルト舗装になる。
広域林道に入ると道路右(南)側にシャクナゲの林が現れ、200300m続く。5月の連休に来たらさぞきれいだろう。林道が鍋谷山の尾 根に近くに迫り、広く緩い谷の入り口と交わっているところで昼食。その先、尾根との距離はもっと近いが、傾斜はもっと急なところから尾根に上る。尾根には あまりはっきりしない踏み跡があり、それを東に辿り、鍋谷山頂に着く。ここは三角点が無く、見晴らしはよくなく、場所も狭くて長居したくなるような場所で はない。

鍋谷山頂


   

                              井ノ口三角点

 鍋谷山から東はしっかりした尾根道があった。それを経て井ノ口山に着く。途中間違って北に延びる支尾根に下りかけることが2回あった。ここの三角点はピークでなく、比較的平らな尾根の上にあった。東側には数10本の巨大台杉があり、それらは杭とロープで囲まれていた。撮影・見学の後、東に下りる。倉橋がそちらの方から広域林道に下りたことがあるというので彼についていった。しかし林道の壁の傾斜は急であり、下り口もなかなか見つからず、全員が林道に出られたのは、井ノ口山を発ってから2時間近く後であった。それからてくてく1時間余り林道を歩き車のデポ地点に着く。以後無事に帰宅。



井ノ口山巨大台スギ群






台杉について
北山丸太(=磨き丸太)にするアシウスギは現在11本植え、それを切り倒して皮をむき、磨いて商品にする。ところでアシウスギには幹を切ると地面に近い側枝は幹のようにまっすぐ育つ性質がある。かつてはこの二次的にできた幹を丸太材に育て、早く大きくなったものから順に切ることが行われた。この方法だと、1本植えに比べて植える手間が省け、より小さな面積で同じ本数の丸太を作れる。なぜこの台座仕立て廃れたのかはわからないが、この日見た巨大スギは放棄された「台」スギなのだろう。

目についた植物
ブナ、ミズナラ、クリ、ウリハダカエデ(多)、ホウノキ(花ほとんど落ちる)、ヤマボウシ(満開)、ウツギ(満開)、シャクナゲ、タラノキ、スギ、ヒノキ(少ない)、モミ(意外に多い)。シカの皮剥ぎは意外に少なかった。

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