安曇野の東には、鋭鋒にして秀麗な常念岳が目につく。そしてその向こうには、梓川の流れる上高地渓谷が有り、その先は槍・穂高連峰が並ぶ。
夏のアルプスを訪ねるのも諦めかけていたが、最後の挑戦として、信州側から常念~蝶を縦走して、槍・穂高を真近かに眺めたいと念じた。
幸い友人二人の同行を得、何とか望みを叶えられることとなった。
① |
①7月20日、連休実行予定を天候不良で2日間遅らせ、車で関西出発、福井の荒島岳山麓の別宅滞在中のもう一人の友人をピックアップ、高山、安房トンネル経由、安曇野に達し、ビッグにして本格的な民芸調の民宿「ごぼうでん」に泊まった。この宿は、友人の勧めであったが、確かに素晴らしい。よって下山後も再度泊めて貰う事となった。(写真の建物、安曇野周辺なら絶対お勧め)
② |
②7月21日、登りは一ノ沢ルートを採用(下山口が三俣になるので車の回送が必要となる)本日の標高差は1,150m、標準時間は5時間30分。大渓谷をじくじく登る。詰めの頃になると雪渓が出だす。
③ |
③1時半ごろ、稜線に達す。やや曇り気味ながら、槍がどんと見える。目の前が常念小屋。昼食時間を含めて6時間。これならまあまあ行けると思った。この自信が後で少々悔やむことになる。
後は展望を楽しみながら、小屋でごろごろ。ビールと行きたいところだが、元々弱い上に高度を考えて自重した。全くの手持ち無沙汰。
④ |
④22日早朝食事を済ませ、6時頃出発。常念岳に向かう。天候はだんだん良くなる。昔は走って登ったとは言わないが,苦もなかった登りがこたえる。
何と言っても晴れ出すと槍ヶ岳がどーんと大迫力。形も立派。
⑤ |
⑤何とか常念頂上。やれやれ。
⑥ |
⑥常念を越えると今度は穂高が眼前に。前穂、奥穂、涸沢、そして手前の岩壁は屏風岩。何時ぞやこのルートは、老クライマーが曾て登った穂高の岩稜を懐かしむ所と聞いた。思えばそうかもしれない。
⑦ |
⑦縦走路からは槍の北鎌尾根から穂高の明神まで一望である。広角で撮るとこんな具合。
⑧ |
⑧縦走路の凹凸は大したことは無いと言う思いだったが、この歳になれば結構こたえる。要は歳を取れば山を舐めてはいけない。(写真は常念方向)
⑨ |
⑨何とか蝶ヶ岳頂上。予定より1時間遅れの1時半。蝶ヶ岳小屋を目の前にして、どうするか。昨日は後半手持無沙汰だったし、小屋に泊まるより無理しても下山し、温泉にでも入りたいと言う思いが募り、下山しようとなる。標高差1330m、標準時間は3時間半、4時間半見れば可能と下山口の三俣に5時半にタクシーを予約した。これが甘かった。覚悟はしていたもののなかなか急な下り、下っても下っても高度計の高度が落ちない。焦るが何ともならず、途中何とか携帯が通じたので、タクシー予約時間を6時過ぎに訂正。その頃より道も良くなる。
⑩ |
⑩2千mを過ぎる頃より樹林帯に入る。なかなか見事な森林地帯である。下山口手前の水場で何とか息を突いたものの、その後は僅かの距離と思うものの上半身は宙に浮き、下半身は棒の様。幾つも流れを渡りやっと車道に出る。やれ車が見えるが、それは小屋関係者の車。「あと800m」の看板にガックリ。もうヤケクソで歩く。幸い下り道、何とかタクシー駐車場に到着。6時半近かった。
親切な運転手に導かれて、先ずは一の谷の駐車場に車回収に行く。途中運転手を通して温泉宿を探すが、7時頃ともなれば無理。やはり「ごぼうでん」だ。温泉でなくとも立派で大きな風呂がある。
何とか一部屋予約。夕食は間に合わないのでスーパーで食べたいもの、飲みたいものを手に入れ直行。8畳の部屋と聞いたが、実際は20畳ぐらいの部屋。風呂に入って、飲みたいものを飲み、食べたいものを食べ、その上思い思いに大の字になって寝た。最近これほどの幸せを感じたことは無い。
23日 ゆっくり起きて、ゆっくり食事。そして往路と同じルートを経由。友人一人の福井の別宅で昼食。畑の取れ取れの野菜を頂いて、友人一人はそこまで。もう一人の友人と北陸道経由で悠々帰宅した。充実感こそあれ、他に言う事なし。今夏のアルプス計画はこれを持って終了した。
おわり
0 件のコメント:
コメントを投稿