2014年12月23日火曜日

黒部の秘境 黒薙温泉に集う  中村 淳

56回グランぺ東西合同が1018日~19日に黒部渓谷で行われた。集合場所は宇奈月温泉駅。15:00の集合時間までに東京7名、名古屋6名、大阪5名の計18名が参集した。

黒部渓谷鉄道のトロッコ列車に乗り、黒部本流から黒薙支流に入り、3駅目の黒薙駅で下車、線路を渡り急な石段を登ると、右手に千尋の谷へ落ち込む断崖を横切る道となる。崖縁には気休め程度の細いワイヤーが貼られているが、転んだら一溜まりもない。注意しながら進み急な石段を降ると、黒薙川右岸の急傾斜地に張り付くように建つ温泉宿の玄関前広場に降り立つ。
 玄関から靴を履いたまま40段ほどの階段を下り、廊下に靴を脱いで部屋に入る。浴衣に着替えて温泉を楽しむ。ここは約140年前に開湯された黒部渓谷最古温泉宿で、定員50名ほどの年季を経た木造建物だ。
 食堂の一室に一行18名が入り、夕食を頂く。山菜料理10品を肴にビールを飲み、和気あいあいと食事する。食後、部屋を代えて車座になり二次会が盛り上がる。明朝の出発が早いので、程々で解散、就寝となる。


                      玄関前で記念撮影


 翌朝、玄関前で集合写真を撮り、7:20出発。往路を戻り、黒薙7:20発のトロッコに乗る。窓のない車両のためトンネル内は寒く、ダウンジャケットを着用する。それでもガタガタ震えながら約1時間、ようやく標高599mの欅平に到着する。
 
所用を済ませ、5.2km先の祖母谷温泉へ向かう。奥鐘橋を渡った所にオレンジ色のヘルメットの棚があり、この先は落石の危険があるので、全員ヘルメットを着用する。
祖母谷川沿いに紅葉を眺めながらトンネルを潜り、名剣温泉を過ぎ、長いトンネルを抜けると対岸に祖母谷温泉が見えた。橋を二つ渡り、9:10に到着する。何人かの人が露天風呂を楽しむ。
 9:50 帰路に就く。橋の手前でヘルメット姿の記念撮影をする。途中で落石に会うこともなく、ヘルメットを元の棚に戻し、無事に欅平に帰還する。

ヘルメット姿を撮る

帰りのトロッコは窓のついたリラックス車両で12:28発、黒部峡谷に別れを告げながら出発地点の宇奈月温泉駅に13:46着、ここでG56が解散。G60までの4回の東西合同登山で、また会うことを約束してそれぞれ帰路に就いた。
 年齢は81歳になるが、1月にはモンブランの麓のシャモニーへ行き、山岳スキーを楽しみ、日頃は山歩き、テニスなどで体を鍛えている。当面の目標はG60に参加することだ。







2014年12月16日火曜日

立命ワンゲルの人達を北山壮に案内しました。 鎌田克則

今初秋、西村顕達さんの北山50山の計画の一つ、雲取山の際、二の谷の立命ワンゲル小屋を訪ねることになりました。当日は雨で、雲取山はとても登れませんでしたので、立命ワンゲル小屋訪問がメインとなりました。
私はその立命ワンゲルの創立者でもありますので、あらかじめ知らせておいたら、雨にもかかわらず、小屋管理責任者他、われわれ到着前に小屋に入り、歓迎してくれました。
特にアンチンさんが、北海道からわざわざ来られ、北山の雰囲気を楽しまれた様子が印象的でした。
その後それを聞いたか、知ったか、立命ワンゲルの人達から、ぜひ歴史ある北山壮を訪ねたいとの要望が私にあり、秋のうちに思いつつ、日程が合わず、ついに暮れも近い12月13日(土)、みなさんのうち何人かを直谷経由(林道は以前より悪いが何とか車が通れる)で案内しました。
天候は寒いが晴れており、みなさん北山壮を十分楽しまれたようです。特にワンゲル小屋の補修管理に携わっている人たちが多く、みなさんマメで、みるみる薪の整理や掃除が上手く、帰りにはなんとなく以前よりきれいになっていました。
ところでその報告がその直後に出されたようで、昨日知り、何とか下記のアドレスをクリックしていただければご覧になれるようにいたしました。
初めて北山壮を訪れた人たちが、何に魅かれ、何に関心を持つのかがよくわかりますので是非ご覧ください。
立命ワンゲルもブログというかHPが充実していて、その掲示板たるや、日々更新、交友、行動の情報交換が激しく、ちょっと間を置くと次のページに移っているぐらいなのです。我々も見習いたいものです。



 

2014年8月12日火曜日

東北夏祭りとその周辺彷徨写真報告 鎌田克則

日本の祭りをそこそこ見たけれど、東北の祭りはその迫力さ、地域の熱烈な参加意欲と、その純粋さに感動する。10年ほど前一度訪れたが、何とも忘れ難く、再度訪れる事にした。そして、もう一つの目的は、来シーズンの山スキーの拠点を探すことだった。


①まず秋田に飛ぶ。今春の春スキーの時と同じくカナダ製の小さなプロペラ機。遅くて低く飛び、何時も北アルプス上空を飛ぶ。前回は槍や穂高が手に取るように見えたが、今度は黒部湖だった。








②秋田で顏なじみになったレンタカー屋さんで日産の車を安く借り、先ずは田沢湖方面へ。何時も角館を通る事になる。夏で緑緑していて人も少ない。
スキー拠点として、秋田駒の南の国見温泉、雫石スキー場等を見ながら国民休暇村網張温泉へ。今春ここから三ツ石山に登った所だ。湯が良いので浸かっているうちに、盛岡さんさん祭りに行くのを諦め、飲んで寝てしまった。




③今日は八幡平をじっくり廻って、あと八甲田に向かう計画。小岩井牧場の北側より、岩手山の東側を回り、八幡平温泉郷、松川温泉を偵察、樹海ラインを経由、後生掛温泉へ。やはりここは温泉の規模も大きく、冬も除雪されており、八幡平全般が緩やかな山並みなので、山スキーの拠点としては申し分なし。但しアクセスがやや困難。
その後東北道を使って青森へ。ねぶた祭りの準備状況や、ワッセラー(ねぶた祭りの掛け声)会館で過去の優秀作品を存分に見学後、八甲田山酸ヶ湯へ。八戸三社祭り、青森ねぶた、五所川原立佞武多の拠点として、湯治棟3泊予約済みなのだ。


④朝から快晴。まず八甲田山をぐるりと一周。どこから見ても、スキーで登った山ばかり。酸ヶ湯では三浦敬三、雄一郎さん等の古い写真が多かった。彼等もやはり酸ヶ湯を拠点としていたのだ。私もここが山スキーの最後の拠点となるように思う。
ガイドに聞くと、最近はセンターで90mm~100mmのやや幅広のスキーが適切だとの事。今シーズンは、トロアバレーより帰った後、幅広スキーを用意してここに出て来るべしかと考える。



⑤田代湿原では色とりどりの花が咲いていた。人も少なく花の楽園の感。









⑥実はうちの庭屋さんが八戸の生まれ。先日家に来たので八戸に行くと伝えたら、是非新幹線の八戸駅の近くの八食センターの回転ずしが美味いと言う。十和田湖経由、奥入瀬渓谷を下り、一途に八食センターへ。成程満席。待たされてやっとテーブルへ。さすがネタが大きく新鮮。隣のおばちゃんが豪快に注文するので連れて注文して美味い美味いと食っていたら、結構な値段だった。考えればうまいと聞いたが、安いとは聞かなかった。
八戸の三社祭りを見る。昼間の祭りで、電線の無い所、幅広の道になると正面が左右に開いたり、上部が一層立ち上がったり変化するところが面白い。それに正面に子供が数人、真剣に太鼓をたたく所がいじらしい。相当練習した筈だ。

⑦⑧次は急いで青森のねぶたへ。下北半島の根元を斜めに横断。青森に急ぐ。さすが六ヶ所村に近くだけに、やたらと高圧電線が多い。思い切り突っ走ったが祭りが始まってしまった。太鼓の響きに気がはやるが、一方通行が多く、駐車場も解らない。近くまで来て薬屋の灯りが見えたので飛び込み訪ねたら、今店を閉めるから、うちの前に置いときなはれ(とは京都弁?)との事。置かしてもらって教えられる通り進めば祭りたけなわ。その規模、屋台の大きさ、迫力,太鼓、参加人数共これ以上の物はない。思わず熱が入る。
特に子供、娘、若者が真剣に取り組んでいる姿。要は市民と祭りとが一体化しているのだ。存分に見た後、コンビニでおにぎり、酒、つまみを仕入れて酸ヶ湯に戻る。勿論湯につかって、思い思い飲み且つ食べる。大いなる一日でした。



 ⑨⑩⑪今日は五所川原の立佞武多の日だ。但し夜なので昼間津軽半島先端の竜飛岬を訪ねる事にする。来月私は間宮林蔵の足跡を訪ねて、サハリン南北約1000kmを往復するだけに関心が高い。間宮林蔵は江戸と津軽、松前、宗谷を何度も行き来している。当然竜飛岬から蝦夷の松前に小さな船で渡ったことだろう。
さぞかし淋しい所と思いきや、新幹線の線路が走っている。何と竜飛岬は北海道に至る青函トンネルの入り口なのだ。且つそれを新幹線にすべく工事が行われている
それを外れると[津軽海峡冬景色]の世界だ。思わず口ずさむ。今は連絡船に乗った人は稀と思う。私は大学1年の頃、大阪から「急行日本海」で23時間半、青森へ。そこで連絡船に乗った。35百tと大きな船だったが、夜中ローリングして気分が悪くなったことを思い出す。冬なら当然「津軽海峡冬景色」だろう。
竜飛岬に着くと天気が悪い。アンテナの先に松前方面がうっすらと見える。距離で23kmとか。これなら好天日なら小さな船でも渡れない事は無い。しかしこれが宗谷岬ならサハリン南端まで42kmとか。何度も稚内から北を望んだことがあるが、サハリンを見たことは無い。この9月初めロシアの船で、コルサコフ迄7時間かけて渡る。江戸幕府は、北方防備の為、サハリン南部の知主に番所を設けていたし、幕府の役人は行き来していたのだ。大したものだ。
近くに青函トンネル記念館がある。覗いてみると世界最長の海底トンネルなのだ。その規模、工法に驚くばかり。


⑫帰りは津軽半島の日本海側を行く。やはり本州北端の思いが迫る。










⑬⑭五所川原に急ぐ。途中の道の駅で祭りの情報を得。エルムと言う大駐車場に行けば、連絡バスが出ているとの由、一路それに向かう。
これが五所川原の立佞武多。その高さはビルの10階建ぐらいありそう。青森のねぶたを立てにした感じ。それが次から次とやってくる.壮観である。
あんぐり、たっぷり祭りを見た後、又コンビニで夜食を仕入れて又酸ヶ湯へ。毎夜10時半ごろの帰宿である。




⑮⑯これは秋田の竿燈祭り。当日天気が悪いので白神山地訪問を諦め、今春頂上を逃がしただけでなく、同行の高鍬さんが9mの雪庇?から落ちた吉森山に向かう。鹿角ICから吉森ダムを狙ったが通行不能。大館市廻りで近づくが天候いよいよ悪く、ゴンドラは動いていることは解ったがとても登れない。ほんとに何時も天候の悪い山だ。山麓の案内書で見るパンフレットでは春夏秋冬楽しめる魅力ある山である。今度は秋に来よう。そして来年の5月の残雪の頃が我々に向いているようだ。
秋田市に向かう。途中仕入れた案内で、指定の駐車場に車を止め、早いうちから大阪より持参した小さな携帯椅子を一等地にセット、祭りを待つ。一杯は飲めないが、だんだん高まる祭りの雰囲気も楽しみだ。
一斉に提灯を付けた棹だけを横にしたまま行進を始め、適当に配置が決まると、太鼓と共に、一斉に立てるのだ。概ね10分ぐらい。壮観としか言いようがない。高いのになると、50kgあると言う。それを曲芸並みに掲げるのだ。当然何人も交代する。時折倒れるのもある。子供は子供なりに頑張る。皆さんこの日のためにどれだけ練習したことだろう。
そして行進。又立てる。それが三回。丁度三回目に雨が降って来て早い目に退参。高速で横手のかんぽへ。これ又10時半到着。


⑰今日は夕刻秋田空港から帰る日。相変わらず天候悪く、それでも横手城を見た後、一縷の望みを掛けて、鳥海山に向かう。北面の矢島牧場辺りより南を眺めたが、鳥海山はあるべきところにうっすらと、以前は真っ白な鳥海山が驚くほど大きく見えたのに残念。そのまま下って秋田空港へ。明るいうちに飛んだので、雲の上に鳥海が出ないかと見張ったが駄目。





⑱しかし中部山岳辺りで富士山が左に見えた。まあこれで満足すべきや。









                                終わり。

2014年7月25日金曜日

2014年7月 常念岳(2,857m)~蝶ヶ岳(2,677m)縦走・写真報告 鎌田克則

                  
安曇野の東には、鋭鋒にして秀麗な常念岳が目につく。そしてその向こうには、梓川の流れる上高地渓谷が有り、その先は槍・穂高連峰が並ぶ。
夏のアルプスを訪ねるのも諦めかけていたが、最後の挑戦として、信州側から常念~蝶を縦走して、槍・穂高を真近かに眺めたいと念じた。
幸い友人二人の同行を得、何とか望みを叶えられることとなった。


720日、連休実行予定を天候不良で2日間遅らせ、車で関西出発、福井の荒島岳山麓の別宅滞在中のもう一人の友人をピックアップ、高山、安房トンネル経由、安曇野に達し、ビッグにして本格的な民芸調の民宿「ごぼうでん」に泊まった。この宿は、友人の勧めであったが、確かに素晴らしい。よって下山後も再度泊めて貰う事となった。(写真の建物、安曇野周辺なら絶対お勧め)







721日、登りは一ノ沢ルートを採用(下山口が三俣になるので車の回送が必要となる)本日の標高差は1,150m、標準時間は5時間30分。大渓谷をじくじく登る。詰めの頃になると雪渓が出だす。













1時半ごろ、稜線に達す。やや曇り気味ながら、槍がどんと見える。目の前が常念小屋。昼食時間を含めて6時間。これならまあまあ行けると思った。この自信が後で少々悔やむことになる。
後は展望を楽しみながら、小屋でごろごろ。ビールと行きたいところだが、元々弱い上に高度を考えて自重した。全くの手持ち無沙汰。








22日早朝食事を済ませ、6時頃出発。常念岳に向かう。天候はだんだん良くなる。昔は走って登ったとは言わないが,苦もなかった登りがこたえる。
何と言っても晴れ出すと槍ヶ岳がどーんと大迫力。形も立派。











⑤何とか常念頂上。やれやれ。
















⑥常念を越えると今度は穂高が眼前に。前穂、奥穂、涸沢、そして手前の岩壁は屏風岩。何時ぞやこのルートは、老クライマーが曾て登った穂高の岩稜を懐かしむ所と聞いた。思えばそうかもしれない。













⑦縦走路からは槍の北鎌尾根から穂高の明神まで一望である。広角で撮るとこんな具合。














⑧縦走路の凹凸は大したことは無いと言う思いだったが、この歳になれば結構こたえる。要は歳を取れば山を舐めてはいけない。(写真は常念方向)













⑨何とか蝶ヶ岳頂上。予定より1時間遅れの1時半。蝶ヶ岳小屋を目の前にして、どうするか。昨日は後半手持無沙汰だったし、小屋に泊まるより無理しても下山し、温泉にでも入りたいと言う思いが募り、下山しようとなる。標高差1330m、標準時間は3時間半、4時間半見れば可能と下山口の三俣に5時半にタクシーを予約した。これが甘かった。覚悟はしていたもののなかなか急な下り、下っても下っても高度計の高度が落ちない。焦るが何ともならず、途中何とか携帯が通じたので、タクシー予約時間を6時過ぎに訂正。その頃より道も良くなる。



2千mを過ぎる頃より樹林帯に入る。なかなか見事な森林地帯である。下山口手前の水場で何とか息を突いたものの、その後は僅かの距離と思うものの上半身は宙に浮き、下半身は棒の様。幾つも流れを渡りやっと車道に出る。やれ車が見えるが、それは小屋関係者の車。「あと800m」の看板にガックリ。もうヤケクソで歩く。幸い下り道、何とかタクシー駐車場に到着。6時半近かった。
親切な運転手に導かれて、先ずは一の谷の駐車場に車回収に行く。途中運転手を通して温泉宿を探すが、7時頃ともなれば無理。やはり「ごぼうでん」だ。温泉でなくとも立派で大きな風呂がある。
何とか一部屋予約。夕食は間に合わないのでスーパーで食べたいもの、飲みたいものを手に入れ直行。8畳の部屋と聞いたが、実際は20畳ぐらいの部屋。風呂に入って、飲みたいものを飲み、食べたいものを食べ、その上思い思いに大の字になって寝た。最近これほどの幸せを感じたことは無い。
23日 ゆっくり起きて、ゆっくり食事。そして往路と同じルートを経由。友人一人の福井の別宅で昼食。畑の取れ取れの野菜を頂いて、友人一人はそこまで。もう一人の友人と北陸道経由で悠々帰宅した。充実感こそあれ、他に言う事なし。今夏のアルプス計画はこれを持って終了した。


                                               おわり