まだ車で走る元気もなく、何か良い手はないかと思い付いたのが、列車による琵琶湖一周。うちの嫁はんは何度も行っているらしい。要は10時ごろ米原行きの列車に乗れば段取りよく行くとか。そんなええ加減なことで、どこか湖北の寒い駅で待たされるのはかなわんと、調べてみると確かにその通り。天気が悪いのに連休の11日出掛けてみることにした。
先ず10時ごろ家を出て、三条京阪で地下鉄山科へ。(間違っても六地蔵行きの山科で降りる事)先ず弁当類を手に入れて、ここがミソだが、先ず湖西線一つ先の大津京駅迄の切符180円也を買う。それでいて11時5分発の米原経由近江塩津行きの快速に乗る。前4両が近江塩津行き、その後ろは米原止まり。車内はほぼ一杯。草津を過ぎる頃より席が空きだす。
私の父方は大津出身なのでこの辺りは懐かしい。いつも名神を走り列車に乗ることは珍しく、周辺の駅前の高層マンションの林立に驚く。その内やっぱり近江富士が見える。列車快速そのもの、適当に暖かく、また適当に揺れ、車窓の景色も変化があって楽しい。瞬く間に近江八幡。鈴鹿に通う時はここから永源寺行きのバスに乗ったものだ。
鈴鹿は天候不良で見えぬ。彦根に来ると観光客らしい人の大半が降りる。ビルの間に彦根城が小さく見える。間もなく米原11時49分着。昔は北陸線の乗り替え駅、駅弁も売っていた。今は車内にさえ売りに来ない。ここで5両以下切り離しに数分程かかるが、こちらは暖かい車内で弁当を開く。お神酒を買うのを忘れた。
しかしなんと山科~米原がたったの44分。昔蕨平や信州に行くのに、15時15分京都発の普通列車に乗り、名古屋迄4時間強かかり、22時40分発松本行の準急に並んで乗ったものだ。多分その頃はSLだったのだ。
いよいよ北に向かって列車は快調に走る。長浜で残りの観光客が降りる。家内の話では、盆梅祭りがあるとか。虎姫、高月、あの辺りは小谷城跡か鶏足寺辺りか、何やら歴史めいてくる。片や天気良ければ真っ白な伊吹、金糞、横山が見えるべしが、見えるどころかだんだん吹雪模様。それも暖かい車両内から見るとなかなかの風情。あっという間に木之本、横山に通ったことが思い出される。
それから北国街道に少し入り、余呉湖の辺りで列車は西に急旋回、つい今年の正月、栃の木峠や賤ヶ岳に雪をかき分け登ったばかりだ。余呉湖にはその時と変わりなく、ワカサギ釣りの大勢の人たちが見える。
トンネルを2~3抜けあっさり雪の近江塩津駅11時35分着。ここで待たされてはこの旅は成り立たないのだが、何と5分待ちの11時40分、同じホームの向かい側に敦賀からの湖西線がやってくるのだ。ここが第2のミソである。
これに乗ればこれまた快速、永原、マキノ、今津と通いなれたる湖西線、そのうち比良連峰、比叡連峰と続く。いくら見ても飽きない。そして大津京駅(山科の一駅手前)13時48分着。ここで一旦下車。ここが第3のミソ。改札を出て、再度山科行きの切符180円也を買い、同じホームに戻ると、7分後に普通電車がやってくる。それに乗れば山科に14時ジャストに到着。何と2時間55分、360円の琵琶湖一周の旅である。
尚これは全くの適正乗車であるとの由、一筆書きと言って関西中心でも色々考えられるとの事。皆さんお考えになっては。
検札に来たらどう説明するかであるが、一度車掌が来たが、「乗継その他御用の方は声をかけて下さい」と言いながら通過して行きました。夫婦、友人その他、お弁当に一寸御神酒をぶら下げて、なかなか粋な列車の旅ですよ。
尚1時間早い10時5分発の米原行きに乗られても、全て全く同じ時間帯で、要は1時間早いことになります。
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